新人ライター#ミライの観戦レポ②「SEAdLINNNG~9周年記念大会・中島安里紗引退試合~」を観戦してきました

「すがすがしい引退試合だった。」

大会の感想をひとことで言い表すとすれば、それが一番しっくりくる。あくまでも個人的な意見だが、中島本人もそのような気持ちだったのではないか。

8月23日後楽園ホール。試合後の会見で「引退を決めた時点で未練は一切ない。」と語った。

声がとても明るく、すでに自分自身の中で”引退”という儀式を終えているかのような印象を受けた。もしかしたら「寂しい」と気持ちの整理がつかないのは私たちだけなのかもしれない。

「SEAdLINNNG~9周年記念大会・中島安里紗引退試合~」は全部で5試合。中島は2試合目と5試合目(ラストマッチ)に登場。

ラストマッチは、女子プロレス界の名タッグ『ベストフレンズ』の藤本つかさ(アイスリボン)と組み、中島と共に2006年デビューの松本浩代&中森華子の同期コンビとの対戦だった。

入場の場面では、観客は試合を待ちわびながらも、“その時が来て欲しくない”といった複雑な面持ちで「これが最後なんだ…」と中島が現れるのを待っていた。

そして登場した中島の顔はとても凛として美しかった。

試合中、松本&中森は最後だろうが容赦ないといった姿勢で挑み、中島はそれに応えるかのように、鼻血を出しながらも最後の最後まで勝ちに向かった。

藤本との『ベストフレンズ』というタッグ名に相応しいシンクロした技の掛け合いも見事で素晴らしかった。

中島は始終、自分が歩んできたプロレスラーとしての歴史に想いを馳せながら、また今この時を1秒たりとも無駄にできないという強い気持ちを持って戦っているようにも見えた。何より沢山の観客の声援が愛に溢れ、会場を温かく包んでいた。

私は引退試合の4日前、8月19日マリーゴールドの後楽園大会で、SEAdLINNNG創設者である高橋奈七永との一戦を観ていた。久々のリングで再会した高橋と中島だが、愛と優しさに包まれた引退試合とは真逆に、会場は試合開始前から緊迫感に包まれ、目に見えない迫力が半端なかった。Sareeeが中島を”悪魔”と呼ぶ理由が浮き彫りになる試合だった。

対比する両試合を観て、2人の再会は中島の引退ロードに必要だったのか、と考えた。高橋との一戦について中島は言葉にしなかったし、答えは本人にしか分からない。しかし、引退試合後のすがすがしい会見を聞く限り、悔いのない納得のいく形でプロレスラーとしての人生を終えることができたのではないか、と感じる。

それは、中島が何度も私たちに伝えていた言葉に裏付けされる。

「最後までやりきった。楽しかった。女子プロレスラーになって良かった!」と。

数々の名勝負を私たちに見せてくれた中島安里紗。

同じ女性として心から思う。「強くてかっこいい女子プロレスラー」だった。

18年間、お疲れ様でした。

文/#ミライ

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