――CC2024は、「三冠王者」としてリーグ戦に臨みました。もちろん対戦相手も「ここで三冠王者に勝てば挑戦する権利を獲得できる」と考えます。それに「三冠王者としての戦い方」も求められます。
安齊:前回の中嶋戦は「三冠ヘビー級ベルトを全日本に取り戻す戦い」で結果だけを追求しました。
だからCC2024は試合内容と結果をすごく考えて戦ったんです。たとえ負けたとしても、後悔がないと言ったら嘘になるんですけど…なんて言えばいいのかな、「全てを出し尽くして戦ったのだから負けたとしても今日はダメだったんだ。次は絶対に負けないようにしよう」と。
気持ち的には「CC2024全勝して乗り越えてやる」と強い思いがありましたが、毎試合あれだけの選手とシングルマッチを戦うわけです。これはやってみないと分からないですよ。
――2022年9月に「全日本プロレスの未来のエース」としてデビュー。キャリアは1年9ヶ月。歴史ある団体の王者として背負っているものが計り知れません。正直、よく潰れないなって思います。
安齊:やっぱり潰れそうな時はありますし、ありましたね。いろんな声を聞いて、「しんどいな」って思う時とか。プロレスをしたくてプロレスラーになったのに、ともすればプロレスが楽しくないって思った時もあったくらい。
3.30大田区でベルトを獲得して少し時間が経った時、「三冠ベルトは妖刀みたいなもの」だと。要は良いことも悪いことも全部運んでくるんですよ。
歴代の三冠王者のカッコいい理由は、特に悪い部分を外に出さずに難なく乗り越えていくところ。その姿を周りのレスラーやファンが見て、「カッコいい」と感じたはずです。
いざチャンピオンになって、良いことも悪いことも全ての困難と嬉しいことが、僕のところにやってきたわけじゃないですか。これってベルトを試されているし、少しでも負けることがあれば、「チャンピオンの器じゃなかった」と思うしかない。
でも僕はそれに抗いたい。「キャリア1年9ヶ月だからしょうがなかったね」でも嫌ですし、「キャリア1年9ヶ月で三冠ベルトを巻けたのはラッキーだったね」で終わりにしたくないです。