――4年前に遠征した時のイギリスと今回2月の渡英、違っていたことはありますか?
MAO:とにかく選手がいなくなった。トップで活躍していた選手がみんなアメリカに行くか、日本に来るか、なんですよ。要はエースがいない。今、イギリスのプロレス界はすごく踏ん張りどころなんですよ。
その下の世代のいい選手もいるんですけど、トップどころのイギリス人選手はみんな、アメリカのWWEやAEW、日本だと新日本プロレス、クリス(=クリス・ブルックス)もDDTにきています。
とにかくいい選手が抜けてしまった。それで、どの団体も同じ選手を使うから差別化がされてないんですよね。どの団体のどんな大会を観に行っても、いつも同じ選手しか出てないから変り映えがしない。
実際、今年春のレッスルマニアウィークで、イギリスの2強ともいわれる団体のプログレスレスリング(PROGRESS Wrestling、略称:PROGRESS)とレボリューション・プロレスリング(Revolution Pro-Wrestling、略称:RPW)のどちらも参戦している選手が変わらなかった。レッスルマニアでアメリカに来た時は”ブリティッシュオールスター”みたいな感じでした。
だから僕は「クリスがイギリスを殺した」ってよく言うんです。要はクリスってキッド・ライコスとのタッグチーム「CCK」や数々のベルトを戴冠するなど、イギリスのインディーでトップに君臨していたんですよ。それに、クリスのユニット「SCHADENFREUDE International(シャーデンフロイデ・インターナショナル)」のオリジナルであるSCHADENFREUDE(シャーデンフロイデ)でも、インディーシーンをとにかく盛り上げて、大会で他の選手をバンバン輝かせていたんですよ。
クリスは選手としても人気があるし、プロデューサーとしても有能です。あと「ATTACK! Pro Wrestling」というプロレスプロモーション企業も運営していました。
物販列なんてCCKだけでものすごい長蛇の列で、最高に盛り上がっていたんですけど。やっぱりクリスが日本に来たせいですね…そういった盛り上がりがなくなって、クリスがいたころのバラエティ的な部分が消えてしまったと感じました。クリスはイギリスでDDTに近いことをやっていたんですよ。そこがなくなってしまいましたね。
ウィル・オスプレイ、ザック・セイバーJr.。あとクリスに近いところでいうと、カイル・フレッチャー。彼はファイトクラブ・プロでSCHADENFREUDE(シャーデンフロイデ)に加入して、2019年5月にクリスとのタッグでFCPタッグ王座を戴冠していますからね。
活躍していた素晴らしいプロレスラーがイギリス国内にいないんだから、やっぱり様変わりした感じを受けましたね。以前はどの団体にも「スゲェ選手がいたな」って感じていましたが、 最近は前よりちょっと弱くなった。
自分とその選手たちは同世代なんですけどね。今、同世代でイギリスのマット界を盛り上げなきゃいけねえんだろうなって感じています。
<後編に続く>
プロフィール【MAO(まお)】
1997年1月28日生まれ、宮城県大崎市出身。身長180㎝、体重85kg。DDTプロレスリング所属。中学1年の時にYouTube「中学生プロレス技やってみた」の動画配信を始め、高木三四郎社長の目に留まったことがきっかけになり異例のプロテスト免除でDDT入団。2015年8月23日東京・両国国技館大会でデビュー。KO-Dタッグ王座、KO-D6人タッグ王座などタイトル歴があり、現在DDT UNIVERSAL王座(第12代)を保持。DDTの超人気ユニット「The37KAMIINA(サウナカミーナ)」の炭酸風呂担当。
<インフォメーション>
5.26後楽園ホール「KING OF DDT~20th Anniversary~」にて、KING OF DDTの準決勝と決勝戦が開催。MAOは準決勝で樋口和貞と対戦。その戦いを制し決勝戦に駒を進め、トーナメント初優勝することはできるのか!?チケット等、詳細はDDTプロレスリング公式サイトをご覧ください。
MAO X(旧Twitter)
MAO Instagram
取材:文/まるスポ
写真提供/DDTプロレスリング