――具体的にはどんな怖い思いを?
MAO:要は売人ですね。売人が街のそこら中にいる。泊まった家にも売人がくるんです。そういう怖い思いをしましたね。あと、宿泊場所からの迂回路が徒歩30分以上かかるので、ハイウェイを横切ってコンビニに行くんです。「死にたくなーい!」って叫びながら、スピード120キロくらいで迫りくる車の間を渡り抜いて、ハイウェイを走って突っ切るんです。そんな状況で買い物行ったり、時には物乞いされたりしながら、過ごしていました。
参戦した大会は、現地のレスラーにわけのわかんないまま買い物に一日中付き合わされて、やっと会場入りしたと思ったら控え室がなくて外で着替えて試合しました。
――プロレス以外でも命がけの2週間だったのですね。その後、11月12日の両国国技館大会でマット・カルドナに勝利し、第12代DDT UNIVERSAL王者になりました。そして12月にDDT UNIVERSAL王者としてハリウッドに渡米。
MAO:これもまたCircle 6から声がかかって。やっぱり、Circle 6と繋がりができたのはとても大きいですね。
12月のKOTDM2023(King of The Deathmatches 2023)は初めてのデスマッチトーナメント参戦でした。UNIVERSAL王座の防衛戦となった、スパイダー・ネイト・ウェブ戦は路上プロレス。両方ともCircle 6の興行です。
――海外でも路上プロレスをやるのですね?
MAO:いつもはバーでやっているんです。年末の12月31日(現地時間)の会場はハリウッドの「Knuckle Head」というバーで、「Barroom Blitz」という大会が開催されたんですけど、外に飛び出してやっちゃいました。今まで会場外でやったことなかったみたいです。初路上ですね。
普段は外に出たら危ないらしいですよ。でも12月31日だからできた。世間は新年カウントダウンでお祭り気分なので、昼間から花火が打ち上がって、あらゆるところでパーティーをして大はしゃぎしている。だから、路上プロレスしても街に溶け込んでいたんです。普段の日だったらできなかった。大晦日だったからできたんです。
年末年始はアメリカでプロレスをして1月2日に帰国。その翌日1月3日にはDDT後楽園大会で試合しましたね。
――めちゃめちゃハードスケジュールですよね。そのあと、2月早々にフランスとイギリスへのヨーロッパツアーがありました。
MAO:はい。バンガーゾーンレスリング(Banger Zone Wrestling 、略称:BZW)という団体から「MAOとヨシヒコを呼びたい」と熱いメッセージをいただきました。BZWはフランスのリヨンを拠点としてヨーロッパ地域で活動しているプロレス団体(2019年ドイツで設立当時はBodyZoi Wrestling。2024年にBZWに名称変更)。エンターテイメント性の高いショーを提供している団体として盛り上がっていますね。
欧州プロレスというと、ドイツのプロレス団体ウエストサイド・エクストリーム・レスリング ( Westside Xtreme Wrestling、略称:wXw)の一強のようなところがあったんですが、新しい団体もできて、プロレス界がすごく盛り上がってきているのを感じます。
ヨーロッパのマット界に、鈴木(みのる)さんやKUSHIDAさん、入江(茂弘)さんといった日本のレスラーを呼んでいますし。今、すごくアンテナが高くなっているところに、いいタイミングでオファーをいただきました。
BZWとイギリスのTNTエクストリームレスリング(TNT Extreme Wrestling、略称:TNT)が提携しているので、4年ぶりにイギリスに行くことができました。