――GAMIさんはファンを始め、周りの声に耳を傾ける経営者ですよね。いいものは取り入れる。
GAMI:1度自分の中に取り入れて噛み砕いてオリジナルにします。
――物事を客観的に捉える視点をお持ちですよね。
GAMI:女子プロレスは男子と違い、いまだに伝統の女子プロレスへの依存性がメチャクチャ高い。もう時代は令和ですよ。その時代に沿ったことをしていかんと。なにより女子プロレスに対するファンの見方が変わりました。でも、それはそれ、これはこれ。
「ファンの見方が変わりました。だったら、私たちはそれに合わせます」じゃダメ。うちの団体がやるべきことをやって、それを認めてくれるファンの人たちに会場に来てもらう。
――確かにそれがブレてはいけないですね。現場監督という立場で客観的にプロレスを捉えているGAMIさんは、現在の女子プロレス界は、どのように見ていますか?
GAMI:ある雑誌に秋山さんと丸藤くんが対談している記事が載っていて、「今のプロレスラーは1から10まであるとすると、6から10まで出来るけど、1から5までの基本が出来ていない」と書いてあった。それを見て、その通り!と思いました。
――それは華やかな部分だけを見て、そこだけを追求するからでしょうか?
GAMI:うん。例えば「ムーンサルト」、あの技はそんなに難しい技ではないんですよ。でも完成形を見て、自分で試してみて「ムーンサルト」が出来ると、それで「プロレスラー」だと勘違いしてしまう。
そうではなく、若い人たちにはロックアップの大切さやバックの取り方一つ一つ「なぜこうなるのか?」から教えないとダメなんですよ。私が若い時は、コーチが山本小鉄さんだから「なんでこうなるんですか?」とか怖くて聞けなかったけど(苦笑)。
腕の取り方は、基本的に掌が上を向いている時と下を向いている時しか教わっていないけど、それを応用すれば何とでもなるんです。人間の転がし方とか倒し方とか急所の位置とか。でも今の若い人は全く知らないから、決まった動きしか出来ない。
基本的な間合いであったり、自分の体重の置く位置とか、軸がどこにあるか、プロレスは「相手をどうやったら倒せるか」から始まっているのに、その部分をみんな知らない。
うちら(WAVEの選手)はコミカルでメッチャふざけているけど、基本の1から5がキッチリ出来た上での5.5とか6をしているわけ。1から5を出来ない選手が増えたらプロレスの未来はないかな。