――今まで、ただの「点」と「点」として存在していたものが、「線」でつながった感じですか?

杉本:そうかもしれません。少し話が逸れますが、マウンドに立った初球、ピッチャーが「この場面はフォークだな」と感じ、キャッチャーのサインも同じ「フォーク」だと試合にすんなり入ることができます。「阿吽の呼吸」ですね。それがピッチャーの思いとキャッチャーの指示が違うと、バッテリー間に温度差ができてしまいます。

プロ野球を見ていてピッチャーが何度も首を横に振るとか、キャッチャーが何度もサインを変えるとか…バッテリー間の阿吽の呼吸がなっていない。こういう時ってあまり良い結果につながらないんですよ。

キャッチャーのサインに納得していないのに、ピッチャーがサイン通りの球を投げると失投につながることも少なくありません。ですからバッテリー間で気持ちを合わせる必要があります。ピッチャーも「このキャッチャーはどういう性格だから、この場面ではどうサインを出してくるのか?」というのを予想した方がいい。特に試合の終盤で必要になります。

だから僕はキャッチャーとは、よく話をしていました。これは野村監督の影響ですね。事前の準備です。ブルペンで投げている時、「自分的にはスライダーがよいと思うんだけど」「今日はシュートも良い感じでしたよ」とやり取りがあると、その声をキャッチャーにも伝えてもらい、意思の疎通をきちんと取るようにしていました。

するとキャッチャーが「本人的にはスライダーの調子が良いけど、シュートの調子も良い」と把握してくれるので、それが配球に反映されます。

野村さんから指導を得て野球を学ぶうちに、社会人野球でも8年間野球をプレイすることができた。やっぱりシダックスで髙橋一三さん・吉井憲治さんに影響を受けて、最後に野村さんの「野球論」によって締めてもらった。それがどこに行っても基本になっています。

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