――本当に最後の最後まで気が抜けないスポーツなんですね。その「最後の一球」で泣いたことはありますか?
小川:よくあります(笑)。「最後の一球、あそこに入れておけば…」って。ただその反面、「寄せないと負けてしまう…」というときに寄せることが出来た試合もありますし、実際に最後の一球で勝利を決めたこともあるので、たとえ劣勢でも絶対に諦めないことの大切さを感じています。 また、試合での失敗談でいうと、以前に緊張しすぎて食べられないことがあって…本当にあの時は後悔しているんです。
――それはいつ頃ですか?
小川:約1年前のことです。だからそれ以降は、食事・睡眠は意識していますね。やはり試合前にしっかり食べて、しっかり寝ておくとコンディションは完璧になりますから。
失敗を含めいろんな試合を経験してきて、自分の試合までのコンディションの持っていき方がだんだん分かってきました。現在は、試合の一週間前からは本番に備えて疲れを残さないよう休みながら1日を過ごしています。
――ボッチャは障害によってクラス分けされていると思いますが、小川選手はどのクラスになるのでしょう?
小川:僕のクラスは「BC4」クラスと言って、脳性麻痺以外の選手たちが行う、比較的新しいクラスです。逆に「BC1」「BC2」は脳性麻痺の障害を持つ選手のクラス。「BC3」は自己投球ができない最も障がいの重いクラスで、アシスタントによるサポートがつきます。
BC4クラスには、僕のようにパワーのない人もいれば、力強いボールを投げるパワフルな選手もいるので、けっこう選手間に力の差があるんですよ。けど、パワーがない人はないなりにジャックボールの周りに自分のボールを固めたり、パワーがある人ならどんどんボールを弾いたりと、自分に合わせた戦略が重要になってくるんです。
――奥深いですね…。小川選手は試合中、どんな戦略を練りながらプレーされているのですか?
小川:相手がやり難くて、自分がやりやすい戦略を考えています。例えば、ボールを手前に置いて相手を邪魔した後に、また自分のボールを寄せたり。そういう相手の嫌がることを考えながらプレーしています(笑)。
なので、ボッチャには個人戦と団体戦があるのですが、みんなで考えながら良い戦略を導き出すことが重要な団体戦が得意ですね。 でも最近、個人戦も面白くなってきたんですよ。というのも、ボッチャは1試合で使える球数が6球で、3対3のチームで戦う団体戦は一人2球ずつ。
一方で個人戦は6球全て一人で使えるので、色々なボールを選択できますし、個人戦ならではの戦略の立て方もあって面白いです。
――ただ、3人で戦う団体戦だと、個人戦よりプレッシャーが大きくなりませんか?
小川:いえ、僕の場合、団体戦の方が緊張しますね。1球失敗すると他のメンバーの足を引っ張る場面もあるので。あと他にも2対2で戦う「ペア戦」もあって、BC4クラスの国際大会は個人戦とペア戦があるんです。