宮浦めぐみさんは、神奈川県横須賀市を拠点とした障がい者スポーツ支援団体「FunPlace39」の代表者。FunPlace39は、障がいのある方と一緒に水泳や陸上、トライアスロンなどのスポーツを楽しむことを目的とし、「どんな方でもスポーツを楽しむことができる!」をモットーに掲げ活動している。法人名や事業内容にある「39」は娘さんの名前「さく」と「サンキュー」の二つの意味が込められている。宮浦さんにFunPlace39の活動を通して目標や社会的役割、今後の課題など、お話を伺った。
団体立ち上げのきっかけは、一人娘の療育のため
宮浦さんご夫婦は実業団の競泳選手。互いに自分たちの水泳を楽しみながら競泳に取り組んだ。宮浦さんはバタフライで全国優勝を果たした経歴を持ち、トライアスロンにも挑戦。2005年には東京都トライアスロン大会やNISSAN CUPで優勝の成績を残している。
2012年に任意ボランティア団体として「39Enjoy Swimming」を設立。団体を起ち上げたきっかけは、出産事故で一人娘さくちゃんが重度の障がいを持って生まれたから。生まれながらに脳性麻痺と稀少遺伝疾患を抱える一人娘の療育のために障がい者の水泳環境を整えたい想いからだった。
宮浦さんは、さくちゃんの長期入院が終わると療育センターでリハビリや生活環境など親子のサポートを受ける早期療育を開始した。早期療育で水との触れ合いは良い刺激になるのではと考え、プールに連れて行ったが、初めての慣れない環境にさくちゃんが怖がり、プールでの活動を断念した経験がある。
「私たちは競泳経験があったので、『娘にも水泳を楽しんでほしい』という思いがありました。でも実際、障がいに関わる水泳に切り替えることに苦労し、時間がかかりました」と、宮浦さんは振り返る。
リハビリの一環でスタートした療育センターでの早期療育を通して、いろいろな人から「うちの子にもプールに行かせてみたい」という声が届いた。
水泳仲間と「重度の障がい者でも水の中で自由に楽しむために、何かできることはないか?」と何度もミーティングを行った。
さくちゃんの成長とともに、身体障がい、知的障がい、遺伝子疾患、発達障がい、精神障がいといろいろな障がいを抱える子どもたちと出会うきっかけがあり、「一人で悩みを抱えているのは自分だけではない」と横のつながりも出来た。
また、療育機関なので、医師、理学療法士、リハビリの先生、心理士、作業療法士など、専門家のサポートもあり、さくちゃんに対するチームができた。そのチームみんなの支えがあり、水泳に関わりやすい環境づくりをスタート。少しずつ活動を支えてくれる輪が広がり、いつの間にか団体ができるほど仲間が増えた。