尾野藤直樹氏と共に設立した、一般社団法人カヌーホームも4年目を迎える。北海道から沖縄まで全国のカヌー協会を回り、カヌー業界の中では広く知られる存在となった。後編はカヌーホームの活動内容と未来について…
――カヌーホームでは、どのような活動を行っていますか?
江盛咲子(以下 江盛):スポーツは「する・みる・ささえる」が大切だと言われています。するのは選手です。みるのは観客。ささえるのは保護者や指導者やコーチ、企業の方とか。この3つの中で、特に「みる」人を増やすことがスポーツの発展にとても重要な要素だと思っています。
たとえば、フィギュアスケートとカヌーって、カヌーの方が競技人口は多いんです。レスリングよりも多い。でもフィギュアやレスリングの方が日本国内での知名度は上です。
――そう考えると、カヌーが世間に届いていないということになりますね。
江盛:そうですね、現状としてはテレビ放映もほとんどありませんし、なかなかカヌーの大会を見る機会は少ないかもしれません。カヌーを見ることの面白さを提供していくことから始めよう、と思って2年目から大会のYouTube配信などを始めました。とくに、まずはカヌーのOB・OGに改めて触れてもらいたいと考えました。
――元カヌー選手に、改めて興味を抱いてもらうことから始めたのですね。
江盛:カヌー経験者であっても、選手として引退した後にカヌーを観戦し続ける人は少ないのではないかなと思います。私自身、大学を卒業して1、2年は母校の応援に足を運んでいましたが、今こういう仕事をしていなかったら、だんだん見にいかなくなっていたんじゃないかなと思います。
また、最近は海外のレースが、YouTubeでライブ配信されますが、海外のサイトを探してやっと大会情報にたどり着きます。そこで日本代表が出ているレースを少しでも見てもらえればと、大会の英語のサイトを訳して、「何時何分に日本代表選手のレースが行われます」とインフォメーションを出すなどもしました。
国内の大会に関しては、会場に来なくてもカヌーを「見る」機会が広がるようにYouTubeでのライブ配信を始めました。
――それで江盛さん自身がカメラを持って、ご自分で実況をする配信を始めたのですね。
江盛:最初は、実況もつけずに大会のライブ配信のみでしたが、見る楽しさを伝えないといけないという話になって一度インカレの配信のときに実況をしましたね。しゃべっている途中にスマホを落下させたりトラブルもありました(苦笑)。
また取材関係も記事だけではなく動画もあると、よりリアルな表情が届くのではないかと思いやってみました。いろいろな方法を試していますね。