5.21東京・後楽園ホール、DDT最強を決めるトーナメント「KING OF DDT 2023」の準決勝と決勝が行われ、クリス・ブルックスが念願の初優勝を果たした。
緊張感の漂う中、お互い出方を伺いながら距離をとりリング上を旋回。ロックアップからスタート。パワーで攻めてくる樋口に対して、クリスは関節を極めていく。
クリスは樋口を場外に落とし、トペ・スイシーダー、そして続けざまにミサイルキックを樋口に見舞う。
クリスはさらに観客席との間に設置されている鉄製の仕切り板で樋口を殴打。しかし樋口は仁王立ちで耐える。そして樋口は鉄板ごとクリスをふっ飛ばす。さらに樋口はクリスに頭突き、「ゴツン」と鈍い音が会場に響き渡る。この頭突きでクリスは額から流血。
15分過ぎ、強烈なチョップの打ち合いで両者の胸元は赤黒く変色。体力の消耗も半端なく足元がおぼつかなくなる中、クリスは反撃に出るがパワーで勝る樋口は強烈なラリアットで流れを変える。
そして樋口はコーナーに上がるが、クリスは雪崩式ダブルアーム・スープレックスで樋口を投げ落とす。だがすぐに立ち上がった樋口は投げっぱなしジャーマンスープレックス。しかし負けじとクリスも同じジャーマンで応戦。
準決勝を勝ち進み、ともに二試合目。ふらつくながらも気迫はもちろんのこと、スピードや技の威力が落ちることはない。むしろ極みに達するがごとく圧巻の死闘を繰り広げるクリスと樋口。どちらも「KING」に相応しい。
樋口は四股を踏んで突進するが、準決勝で秋山を下したクリスの強烈なプレイングマンティスボムが炸裂。しかし樋口はカウント2で返す。そして樋口はブレーンクロースラムでクリスを投げ捨てるが、力を使い果たしフォールすることができない。
リング上に大の字になる両者。なんとかカウント９で立ち上がる。
クリスは流血している頭部を何発も樋口にぶつけていくが、全く動じない。樋口は真一文字に口を結び、クリスを見つめ頭を落とす。クリスは崩れ落ちるようにダウン。
フラつきながら立ち上がるクリスに、四股を踏んだ樋口が突進。その瞬間、クリスは樋口にからみつき、オクトパスストレッチで185cmの樋口の身体を締める。粘る樋口に渾身の腕固め。樋口の腕が伸び切り限界を超えたところでレフェリーストップ。クリスが執念の勝利を収めた。
◯クリス・ブルックス（24分28秒 グラウンド・オクトパスストレッチ）樋口和貞⚫️
KING OF DDT 2023トーナメントを制したクリス・ブルックス。試合後、24分28秒の激闘を繰り広げたクリスはマイクを手に取った。
鳴りやまない「クリス」コールの中、クリスは「みんなが応援してくれたから勝ちました。人生辛い時DDTを観てください。今が自分のドラマティックドリーム」と感謝の想いを口にした。
試合後、クリスは「日本にDDTに来てもうすぐ4年。ついに今日勝ちました。次はKO-D無差別級、獲ります！火野さんにも勝つ！」と悲願の無差別級王座初戴冠に向けて気合十分。そして「樋口さんは日ごろの行動を含めてレスラーとして偉大」と準優勝の樋口を讃えた。
一方、準優勝に終わった樋口は「クリスの気持ちが上回っていました。自分がKING OF DDT 2023を獲って上に行くという気持ちより、アイツ（クリス）がDDTのことを思って本当に諦めずに闘ってくれて、その執念にやられた。でも負けじと、自分も含めてDDTのレスラーみんなで頑張っていきたい」とバックステージでコメント。
両者の死力を尽くした戦いに決着がつき、「KING OF DDT 2023」は幕を閉じた。クリスはKING OF DDT 2023覇者としてKO-D無差別級王者・火野裕士の前に立つ。果たしてクリスはKING OF DDT 2023に続き、KO-D無差別級タイトルを獲得することができるのか？
文・取材／黒澤 浩美
写真提供／DDTプロレスリング
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