つないだ「KING OF DDT 2023」1回戦と2回戦
――DDT最強決定トーナメント「KING OF DDT 2023」、5.6新宿FACE 1回戦で土井成樹選手に勝利しました。1.13新宿大会でUNIVERSAL王座の借りを返したわけですが、1回戦の土井戦はいかがでしたか?
上野:一言でいうと、「つないだ」ですね。トーナメントの一つとして土井さんとのシングルマッチが決まったけど、やっぱりタイトルマッチの時とは違う。
トーナメントは「勝ったら次に上がる」を一つ一つ繋いでいく感覚。だから「つないだ」ですね。
1月に新宿で敗戦した気持ちは引きずらなかった。そこは繋がっているようで、繋がっていない。基本的に全く別物だと思っています。
土井さんに勝ったというのは嬉しいけど、その思いに浸るものではなくて、「次はトーナメントの2回戦だ」という気持ち。だからタイトルマッチで土井さんと戦った時と感覚も違いました。
土井さんに勝った時も、鈴木鼓太郎選手に勝った時も、「KING OF DDTを勝ち進み、必ずKO-D無差別級に挑戦する」と固い気持ちがあります。
だから同じ土井選手との戦いですが、1月のタイトル戦と今回のトーナメントは全く別だなと思いますね。
――昨年8月の取材時に、「何かが変わったというよりも『自分が積み上げてきたものが間違いではなかった』と思えた」と、日々の積み重ねの大切さについて話してくれましたが、今回の「KING OF DDT 2023」は積み重ねの集大成だと感じます。鈴木鼓太郎選手も「彼(上野)と当たったのは7、8年前かな。デビューした時は若い子がデビューしたんだなくらいにしか思ってなかったけど、やっぱり7、8年の成長具合はでかいね」と絶賛してました。ご自身はどう感じていますか?
上野:やっぱり単純に嬉しいですよね。鼓太郎さんは技術もあるしキャリアもある。それ以上に僕は鼓太郎さんに宇宙を感じています。レスラーとしてメチャクチャ深いしカッコいい。ものすごく存在感を放つ選手。その選手に評価してもらえたのは嬉しいですね。
集大成として積み上げてきたものが、今回だけ発揮されているというわけではなくて、どの試合も毎回精一杯ぶつけているつもりです。僕は自分で自分の歩みをちゃんと考えて記憶するようにしているので。
5.7新宿での一戦が、自分自身でどんな形になったかはまだわからない。それでも 7、8年前、視界にも入ってないところから、今回、鼓太郎さんに評価してもらえた。
――KING OF DDT 2023は1回戦と2回戦が2日間連戦で開催されました。参加する選手にとっては、かなり過酷なトーナメントですね。
上野:僕はタイトルマッチが好きな理由の一つに、「その人のことばっかり考えられる」というのがあります。しかし今回は1回戦と2回戦が連日だったから鼓太郎さんに向けての準備期間も半日だけでした。
もっと長い期間をかけて鼓太郎さんのことを考えたい。前哨戦を通して対戦するレスラーを知り尽くすのがタイトルマッチの醍醐味。そこでやっと僕と鼓太郎さんがより向き合える。
今回は、 7、8年前に気づいてもらえなかった上野勇希を鼓太郎さんに気づいてもらったっていうところなのかなって思います。