――竹下選手が以前話してくれた「ゴールに向けて最長距離で向かうのがプロレス」を体感しているのかと思いました。
竹下:そこにドラマがありプロレスファンとして胸を打たれていたので。仮にそのプロセスを通らなかったら、僕が影響を受けてきたものが全て嘘になりますね。
――ところで3月の取材時、秋山準選手のことを「『プロレスとは、こうだ!』というのを、ほんの10分のタッグマッチを通して教えてくれたんです。秋山さんの衝撃度は、レスラー人生で一番大きかったです」と話していました。その秋山選手と闘ってみていかがでしたか?
竹下:(少し考えて…)その時は僕がゲストで全日本プロレスさんに呼んで頂いて戦った試合だと思うんです。今はコーチとしてDDTに来て頂いていますが、僕は秋山さんを外敵として見ています。いや「外敵」というのは変えます。僕に関しては敵ですね。DDTにとっての外敵というより、僕にとっての敵です。
――コーチとして秋山選手から指導を受ける事はあるんですか?
竹下:僕に関しては試合を通してですね。11.3大田区でシングルを行うまでの2ヶ月間、毎週秋山さんと戦っていたので、その戦いを通して教えてもらいました。
――また3月「秋山さんや他の方々と戦って、一気に自分のプロレスに対する価値観や視野が広がったんです。相手の技を吸収した上で勝つ、というのが美学になりました。」と話してくれました。秋山選手と戦い、その美学を体現できましたか?
竹下:秋山さんと戦って吸収したものは、秋山さんと戦った時に出るものではないので。秋山準と戦って勝つためのものを今探している段階ですね。
間違いなく2020年、僕自身はステップアップしたと思うし、秋山さんとの戦いを通して自分自身のプロレスが進化していると思いますが、「じゃあ秋山準にどのようにしたら勝てばいい?」というのは分からないんですよ。
――先ほどもお話頂きましたが、前哨戦として約2ヶ月間タッグマッチで秋山選手と戦った時と、いざ11.3大田区シングルマッチで戦った時、秋山選手の感触は違いましたか?
竹下:タッグは秋山さんがパートナーをコントロールする戦い、シングルは「掴みきれない強さ」というか、例えるならば「専門家の方と腕相撲した感じ」ですかね。