――1年4ヶ月前の屈辱を晴らしましたが、リング上で樋口選手はあまり喜んでいないように感じました。
樋口:自分の試合前、KING OF DDTトーナメント準決勝・第1試合で吉村直巳が勝ちました。それを目にしたからですね。一旦秋山さんに目を向けたけど、すぐに決勝の相手・吉村戦へ頭を切り替えました。
――決勝は吉村直巳選手。決勝戦の後、DDTを20年以上観戦しているファンが「樋口vs吉村戦、今年のベストバウトですね」と話してました。僕も会場で観戦しましたが、「俺たちがDDTを背負っていくんだ」と2人の決意がファンにも届く素晴らしい試合でした。1試合目秋山選手と戦い、同じ日決勝戦で吉村選手と対戦。肉体的にかなりキツかったのではないでしょうか?
樋口:たしかに対戦するのがキツい2人ですね(苦笑)。でもそんなに感じなかった。それ以上に「必ず優勝してKO-D無差別級のベルトを獲得。遠藤と対戦する」という思いが強かったです。
――何年も前から「樋口待望論」がありました。しかし長い間、樋口選手はKO-D無差別級ベルトを巻くことができなかった。
樋口:これまでの思いが報われましたね。とにかく結果が出なかった。さかのぼると中学時代から取り組んでいた柔道を含め、相撲時代、プロレスラー…その全てが中途半端。
1番になったことがない。20年以上生きてきた中での集大成が、昨年7.3後楽園でのKO-D無差別級ベルト戴冠でした。やっと世間に認めてもらえる結果を出せたと思いました。
――トーナメント決勝で吉村選手に勝利。試合後、秋山選手が登場しベルトを巻いてもらいました。この時の気持ちを教えて下さい。
樋口:「2021年3月、秋山さんの腰にベルトを巻かされたこと」「8年間プロレスを続けながら大切な場面で結果を出せなかったこと」「相撲を中途半端に辞めたこと」、これまでの人生の20年間が浄化された気がしました。やっとEruptionのメンバーに晴れ姿を見せることができたし、本当にこれまでの人生が報われました。
――そして高木三四郎社長からDDTの旗を渡され「DDTの強さの象徴としてDDTを引っ張っててくれ」とDDTの未来を託された。チャンピオンに休息の時間はないですね。
樋口:その通りです。それがチャンピオンなので(笑)。