【カヌースプリント 藤嶋大規】子供たちの前でカヌーを漕いで終わりたい(後編)

カヌースプリント競技でロンドンオリンピックと東京オリンピック、2度出場経験を持つ藤嶋大規さん。前編では生い立ちからカヌー選手としてオリンピックに挑む姿をお伝えした。今回は東京オリンピック出場から今後について伺いました。

<前編はこちら>

目次

東京オリンピック出場へ

――2019年東京オリンピックの出場権を賭け、ハンガリーで行われた世界選手権でアジア勢トップの3着・全体12位となり水本圭治選手,松下桃太郎選手,宮田悠佑選手と男子カヤックフォア 東京オリンピックの出場枠を獲得しました。

藤嶋:4人でレースを行うカヤックフォア(K-4)は世界選手権しか選考がなくチャンスは1度きり。今までの大会でチームが1番ピリピリしていましたね(苦笑)。

――日本勢の中でも東京オリンピック出場が決まったのは、時期的に早かったように感じます。

藤嶋:所属する自衛隊体育学校でも、日本代表になったのは自分たちが1番早く周りから祝福された記憶があります。

――その後、コロナ禍になり東京オリンピックが1年延期されました。

藤嶋:自分としては2019年の勢いそのままに2020年戦いたかった。2020年時点で32歳。カヌーは冬の練習を乗り切るのが大変なんです。「またあの練習を経験するのか…」と考えると気が重くなりましたね(苦笑)。

ただそこは「あと1年練習できる時間を増えた」と頭を切り替えました。

――アスリートの方が「20代と30代は身体的に違う」と言いますが、具体的には何が違うのでしょうか?

藤嶋:年齢を重ねると「勢い」がなくなりますね。「あれ、1週間でこんなに疲れていたかな?」とか以前との回復力の違いを感じます。

――日々、自分の身体と向き合っているので一般の人より敏感なのでしょうね。ところで東京オリンピックはいかがでしたか?

藤嶋:「1年延期になった東京オリンピックでのレースで自分たちのベストパフォーマンスが出せたか」と問われたら、正直出せなかった。ベストパフォーマンスを出さなければいけなかったけど、悔しい気持ちの方が大きいですね。

――「1年延期されなかったら…」という気持ちが残りますよね。いろいろなニュースで取り上げられていた選手村はいかがでしたか?

藤嶋:世界選手権とはレベルが違いましたね。色々な国の選手がいますし、日本人選手の活躍も目にしました。「すごいな」という羨望の眼差しと同時に、「悔しさ」も感じました。

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