「昨年は例えば打撃で結果が出なかった時でも、『どうにかNPBのスカウトに見てほしい』と考えていました。そこで何ができるかと考えたら、四球などでも塁に出たら盗塁でアピールをした方がいいなと。走塁からリズムを掴んで打撃や守備に繋げる意識でいたので、塁に出たら”絶対に走ろう”という気持ちでいました」
もちろん塁に出たらむやみに走った訳ではなかった。打席に立つ味方の打者も柏木と同じ想いを持って打席に立ち、アピールする選手もいる。試合展開や流れなども読み、チームの状況に応じたプレーというのも心かげていた。
「カウントから配球を予測して”変化球の時に走ろう”といった状況も読んで、次のプレーをすることができてきたと思います」と語り、頭を使ったプレーも2年目の成長の証であった。
結果も伴いつつあり、NPBスカウトからの評価は上がってきていた。10月上旬には巨人から声が掛かり、入団テストを受けるなど、機運が高まっていたのは事実だった。
また、メディアも柏木に注目していた。ドラフト当日の特別番組では特集が組まれ、家族とのエピソードも紹介された。
本拠地であるアメニスキッピースタジアムでは、ドラフト会議のパブリックビューイング会場が設けられた。チームメートも一緒にユニフォーム姿で集まるなど、家族・地域の方・関係者の皆が指名を待ち侘びた。
しかしその期待も虚しく、育成ドラフトの終了まで名前が呼ばれることはなく、目標がまた遠のいてしまった。