■ぽっちゃり女子プロレス旗揚げ戦
――そんな中、2019年4月王子で「ぽっちゃり女子プロレス旗揚げ戦」が行われ、今成夢人選手とシングル対決しましたね。
まなせ:これは試合前の印象が強かったです。東京女子代表の甲田哲也さんから4月14日のスケジュールだけ押さえられていました。何をするかは分かりません。そしたらガンプロのTwitterに「まなせゆうな、ガンバレ☆プロレス参戦決定!」と。そして「ぽっちゃり女子プロレス旗揚げ戦」の文字も。「えっ、なにこれ?」という気持ちと「なんだよ『ぽっちゃり』って、ふざけた名前だな」と(笑)。
記者会見の日まで周りは「ぽっちゃり」というキーワードで楽しんでいて、なおさら怒りだけが募りました。その記者会見で今成さんが私に対して「スターダムの時は『愛川ゆず季2世』、アクトレス・ガールズではセンターでデビューしたのに何もなってねぇじゃん!」とめちゃくちゃ言われました。
さらに今成さんは「俺は期待されずにプロレスをやっているけど、お前は期待されてプロレスをやっている。まなせはなんのために試合やっているんだよ!」と。その時の今成さんへの感情は「嫌いでイラっとする」でした。
試合前日、東京女子の選手から「今成さんとの試合楽しみにしている!」と声をかけられるけど、私は男性と試合をするのも初めてでナーバスになっていました。当日も焦り過ぎてリングシューズを忘れ、大家健さんに借りたぐらいですから(笑)。
――足のサイズが大家さんと一緒なんですね(笑)。
まなせ:そうです。大家さんは「まなせさんのセコンドに付こうと思って短いシューズを持ってきた」というシューズを、そのまま借りました(苦笑)。その時から大家さんは私のことを応援してくれる。それが自分の団体の選手じゃなくても「一生懸命な人を応援してくれる」のが大家さんなんです。
今成さんとのシングルマッチ、リング上から見える風景は東京女子のものとは違いました。東京⼥⼦はみんな私より背が低いし可愛い。戦っていると私がいじめているように⾒えるみたいで、私への応援をあまり感じられませんでした。でも「ぽちゃ⼥」の時、久しぶりに「応援してもらえる気持ち良さ」を感じることができました。ガンプロのお客さんは温かい⽅が多いので所属選⼿でない私にも「頑張れ〜」と声援を送ってくれたんです。もちろん東京⼥⼦のファンの⽅も沢⼭応援に来てくれました。