■今後の目標。そして将来の夢…
――今後の目標はなんですか?
伊藤:日本国内にはモータスポーツ最高峰のカテゴリーが2つあります。「スーパーフォーミュラ」と「スーパーGT」です。スーパーフォーミュラはF1に代表される「タイヤが剥き出しの車両」のこと。スーパーGTは「市販車をベースにレーシングカーに改造した車両」です。この2つのレースで優勝すること。それに向けて1年1年ステップアップしています。
僕が今年出場するレースは「FIA-F4選手権」、若手が腕を磨けるフォーミュラレースで「モータースポーツ界の甲子園」と言われる大会です。上に上がっていくためには、このレースで結果を残すのが最近のセオリーになっています。
FIA-F4選手権はスーパーGTと同じタイミングで開催されます。観客も多いですし、上のカテゴリーの関係者も絶対に観ます。結果を出せばGT300といった上のクラスから「来シーズンドライバーにならないか?」と誘いの声がかかることもあります。
――ドラフト的な要素も含まれているので「甲子園」なのですね。
伊藤:はい。もちろんチャンピオンを取れたら嬉しいですけど、一戦一戦大切に順位をあげていきたいですね。この大会は2016年から開催されていますが、過去ワークスチームしかチャンピオンを奪っていない。ワークスチームというのはTOYOTAとHONDAといった企業チームのことです。僕はプライベートチームで参戦します。
先日の合同練習でも上位5チームをTOYOTAとHONDAが独占しました。今年は過去最多台数の約40台が出場。僕は初参戦なのでトップ10に入ることを目標にしています。
そして将来の夢は「地元いわきでモータースポーツを拡めたい」と考えています。もちろんドライバーとしての目標は「スーパーフォーミュラ」「スーパーGT」のレースでチャンピオンになることです。
僕がモータースポーツを知ったのは中学2年生の時、テレビで観たレースがキッカケでした。もし中学生の時からモータースポーツを始めていたら、高校で始めるより3年間早くドライバーとしてスタートできていた。この3年がものすごく大きい。レースを始めたばかりの高校1年の時、「始めるのが遅かった」と痛感しました(苦笑)。
――もう少し早い時期にモータースポーツに触れる機会があれば、また変わっていたかもしれませんね。
伊藤:そうですね。地元いわきにはモータースポーツができる環境がないんですよ。大きい4輪が走れるコースとなると規模が大きくなってしまうのでカートコースがあればと十分。また最近では手ぶらで利用できる「レンタルカート」もあります。
このような施設があればモータースポーツに興味を持つ人も増えるし、いわきの知名度も上がるのではないかと。そして将来的にいわき出身のドライバーが増えます。ただ夢を形にするには僕の全国的な知名度があってのこと。ですからまずは日本でトップを獲るために頑張りたいと思います。
<おわり>
伊藤 慎之典/イトウ シンノスケ 福島県いわき市出身
いわき秀英高校卒業
千葉工業大学在学中
所属:HRT&チャリ走GO!KART!/KART
:TAKE FIRST(鈴鹿)/ZAP SPEEDレーシングカー履歴
2015年 カートを始める
2016年 各地SLシリーズ参戦
2017〜2019年 全日本FS-125参戦
2018,2019年 ROCKUP(イタリア)参戦
2020年 全日本OKクラス参戦フォーミュラー履歴
2020年 S-FJ日本一決定戦
2021年 鈴鹿シリーズ参戦中
2021年 もてぎ・菅生シリーズ参戦中
取材・文/大楽 聡詞
写真/本人提供