――最初「オンラインエルゴ選手権大会」を聞いた時、正直驚きました。確かにコロナ禍でオンライン上でのライブ観戦が当たり前になっている。それは視聴者があくまで「観戦」、情報を受け取るだけです。しかし「オンラインエルゴ選手権大会」は運営側と参加者、双方向のやり取りが行われます。
尾野藤:やはり学校の顧問の先生を始め指導者の方々の選手に対する思いが強い。コロナ禍で大会が中止になっている。選手たちに少しでも「競い合う舞台を用意したい」という気持ちが本当に伝わってくる。
主催をしたのはカヌーホームですが、選手や指導者の方々の想いが一つになり「第一回オンラインエルゴ大会」が成功したと思いますね。
――僕は第一回オンラインエルゴ大会の司会を担当させて頂きました。そこで印象に残ったのは参加する選手の笑顔です。大会に向けて日々苦しい練習に取り組んでいるのにコロナで大会が中止になり、「競う場を欲している」と。カヌーホームの取り組みは選手やチームに「競い合う場所」を提供する素晴らしい取り組みだと思いました。
尾野藤:でも選手は実際辛いんですよ(苦笑)。川や湖の大会と違い風景も変わりませんし、エルゴメーターのパドルをグルグル回すだけ。本来カヌーの楽しさは「水との戯れ」「漕ぐたびに感じる風の匂い」です。
それでも楽しめるのは選手一人一人が「勝負する楽しさ」や「自分のやってきたことを披露する」という気持ちを持って大会に挑んでいるからだと思います。
――僕もエルゴメーターで1000mチャレンジしましたが、メチャクチャ疲れました(苦笑)。ただ回すだけではなく、キチンと両手で均等にパドルを回さなければいけない。
尾野藤:カヌーの動きは非日常の動作です。それまで経験したことのない人だと難しく感じるかもしれないですね。