――やっぱり子どもに伝わるんですね。ところで今井さんは今井航一選手が一生懸命頑張ってきた姿を近くで見ているわけですよね。それまでは水泳で日本一になるため、今度はパラカヌーで世界一になるために目標も変わりました。今井さんには「旦那さんと一緒に世界に行ける」という目標もありますね。
今井:当初、私は「一緒に世界に行きたい」という気持ちがなかったんです(苦笑)。夫は自分で考える人なので、コーチもいらないタイプです。
ただ私は元々カヌー競技をしていたし知り合いもいたので、「その知り合いと夫を繋げれば彼は勝手に伸びるだろう」と考えただけ。強いていうなら「やりたいようにやれる環境を作ろう」というくらいです。
――その考え方は今井さんの職業も反映されていますね。
今井:それもあると思いますよ。アスリートと接するようになって思うのは「距離感」です。それと質問力ですね。特にパラアスリートは自分の身体をどのように操っていこうかを常に考えている。夫の中にある答えを引き出すため、私は質問を投げかける感じですね(苦笑)。
――それは今井選手が自分で認識していない答えを自ら認識させるために、今井さんが意識して質問をするということですか?
今井:そうです。私は答えを知りませんが「彼の中にある無意識の答えを本人に意識させるため」の質問を日常会話の中で投げかけています。これはメンタルコーチング的なことですけど。
――「道を作ってあげる」ということですね。アスリートにとって強い味方!
今井:どうなんでしょう(苦笑)。この前、次男が夫に「お母さんって、どういう人」って聞いたんですよ。夫は少し困っていましたが「チャンスをくれた人」と答えていました。私が「何個くらいチャンス与えたやろ」と聞いたら「五個くらいじゃない」と(苦笑)。