俺達のFMW 新宿鮫編「第4回(最終回) 風化水脈」

ーーなかなか濃いメンツですね(笑)。

新宿鮫:そこから俺がFMWに上がるまでは金の字とは関わりはなかったんですよ。保坂秀樹と試合した時に、金の字の方から声をかけてくれて。あいつはあの飲み会を忘れていると思っていたらちゃんと覚えていて…。冬木さんに俺を薦めてくれて、FMWに入団できたのも金の字のおかげだし、本当に世話になりました。

ーーなるほど。ありがとうございます。では、新宿鮫さんに最後の質問をさせていただきます。あなたにとってFMWとは何ですか?

新宿鮫:FMWでの2年間はいい事ばかりなんですよ。確かに色々とあったけど。凄い楽しい思い出ですよね。ずっとここでやっていたいと思ったし。FMWが終わってWEWやアパッチプロレス軍とかXWFとかあったけど自分の人生を振り返っても、FMWではいい事しかなかったんです。

エンターテインメントプロレスというあれだけの大きな規模でやらせてもいらったのは得難い経験ですよね。自分がお金を出してもできないことを体験できたわけですから。

ーー新宿鮫さん、今回の取材にご協力いただきありがとうございました。

新宿鮫:ありがとうございました。

インディー団体を流浪した末にFMWにたどり着いた”空飛ぶボクサー”新宿鮫さんへの取材は2時間に及ぶものとなった。どこか憎めないという不思議な魅力を持つ彼の世界観が炸裂したインタビュ―内容になったのではないだろうか。

「自分はプロレスラーじゃない」という言葉を何度もインタビュー中に語っていた新宿鮫さんは謙虚というより、ネガティブな一面を持つ。恐らく、あらゆる意味で影を抱えて彼はこの世の中を生きてきたのだろう。

だがこの影の部分が新宿鮫さんの妙な色気と、やさぐれさに繋がったのかもしれない。プロレスはエースだけではなく、ヒールもいて、ベテランも若手もいて、脇役といったさまざまなポジションにいる者達がいるからこそ、成立するジャンルである。FMWでの新宿鮫さんは前座や中堅という立ち位置で、ジゴロ路線を歩み、男女の恋愛模様をプロレスで表現するエンターテインメントプロレスにおいて実は重要な役どころを担うひとりだった。その事実は風化されることはない。

プロレスのリングでボクシングスタイルで闘い続けた新宿鮫さん、あなたは立派なプロレスラーだった…。
(「俺達のFMW 新宿鮫編」完結)

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取材・文/ジャスト日本
写真/本人提供

ジャスト日本 Twitter

【ジャスト日本】 プロレスやエンタメを中心にさまざまなジャンルの記事を執筆。2019年からなんば紅鶴にて「プロレストーキング・ブルース」を開催するほか、ブログやnoteなどで情報発信を続ける。著書に『俺達が愛するプロレスラー劇場Vol.1』『俺達が愛するプロレスラー劇場Vol.2』『インディペンデント・ブルース』

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