――僕も同じような年齢の時にオーストラリアに行きました。今井選手はどのくらいの期間行かれたのですか?
今井:ワーキングホリデーのビザを取り、最初はゴールドコーストでアルバイトをしていました。5ヶ月後シドニーに移動、永住するためにどうすればいいかを考えながら過ごしていました。ちょうどレストランに食材を卸す日本人の業者さんと出会い「明日から働きに来ていいよ。(永住するなら)ゆくゆくは雇用も考えましょう」といいお話をもらったその日の帰宅中、車に轢かれて状況が一変しました。
――えっ、オーストラリアでですか?
今井:自宅へ帰宅中、バスから降りて歩き始めたら車が突っ込んできて飛ばされました。かなりの重傷でした(苦笑)。
実は、加害者の運転手が保険に未加入。しかし、オーストラリアでは保険未加入の場合でも、被害者はキチンと治療が受けられる制度があります。外国人なので適用されるかどうかオーストラリアの弁護士に入ってもらう形になりましたが、治療費等は保証され無事治療を受けることはできました。
シドニーはオーストラリアで中心都市なので有名な医師も沢山いて、なんとか足をつなげて頂きました。ただ歩けるようになるまで長期化しそうだったので「日本に戻った方が良いのではないか?」と周りのアドバイスもあり、飛行機での搬送が許可される体調に回復した時点で日本に戻ってきました。
――それが27歳でしょうか。
今井:そうですね。日本に戻ってからは通院しリハビリ生活。やっぱり1年くらいは杖が手離せなかったですが、家庭教師などのアルバイトを3つくらい掛け持ちして過ごしていました。
その後、「オーストラリアに戻る」という考えもありましたが、将来シニア世代になって仕事をリアイヤしたら、カフェを開きたいという夢もあったので「海外の料理の専門学校に通おう!」と思い、今度はカナダに行きました(笑)。
今井航一/イマイ コウイチ 広島県広島市出身
株式会社コロプラ 所属/香川県パラカヌー協会 所属主な成績
2019日本選手権 男子KL3 2位/男子VL3 1位
2020日本選手権 男子KL3 1位/男子VL3 1位
2021 東京2020パラリンピック 男子VL3 12位
所属:株式会社コロプラWebサイト
香川県パラカヌー協会 Twitter
一般社団法人 日本障害者カヌー協会Webサイト
一般社団法人 日本障害者カヌー協会 Twitter
取材・文/大楽 聡詞
写真提供/今井航一・(一社)日本障害者カヌー協会