――上野選手とのDDT UNIVERSAL戦のお話がでましたが、あの試合は2020年12月27日後楽園で翔太さん・彰人選手・平田一喜選手が持つKO-D6人タッグベルトに勝俣瞬馬選手・MAO選手・上野勇希選手が挑戦しました。結果は翔太さんが上野選手から雁之助クラッチでフォールを取りました。試合後の翔太さんのマイクがカッコ良かったですね。
「俺の野望はスーツケースにコスチューム入れて、パスポート片手に世界中を回ることだ。世界中を回るには、もちろんもっとオファーされるためには知名度を上げないといけない!DDT UNIVERSALのベルト、それを獲ることで俺の世界中を回るプロレスラーになるという夢に一歩二歩近付く、さぁどうだ、リベンジしたいんだったら、そのベルトを懸けてシングルマッチ、やらせてもらえないかな?」とあの言葉にグッときました。
コロナ禍で声が出せない中、会場のお客さんの拍手の大きさで試合に対する期待感を感じました。
翔太:それは嬉しいです。
――翔太さんは技の入り方のパターンが多く、観ているファンを驚かせてくれますよね。
翔太:プロレスの美学は引き算です。でもどこかで僕は足し算になった。10年以上、ずっと僕は引き算をしていた。
やっぱりWWEのプロレスは引き算で洗練されたもの。要は選手1人1人手札がいっぱいあるわけじゃなくてジョン・シナと言えば「アティテュード・アジャストメント」があって「STF」がある。
それらの技を繋げて勝利に持っていくパターンがあるんですけど、僕はちょっとそれを止めて逆にパターンを増やした。
去年の9月か10月ぐらいから、とにかく手札を増やしました。それが僕のスタイルだろうと思って。
実はその少し前、2019年から2020年前半に勝った僕の試合結果を見ると、意外に同じ技で勝っているのはメチャクチャ少ない。
その頃から僕は「勝てる技を増やす」というのを考えていた。なぜかというと「一撃必殺で倒せるような技が僕にはない」と気づいたんです。
実は雁之助クラッチもカウント2で返されていることがある。それは僕が試合の中盤で雁之助クラッチを出して意図的にカウント2で返させている。
するとお客さんと対戦相手に雁之助クラッチの印象が残る。それは最後に「別の技」でフォールを取るため。
試合結果だけを見ると毎回別の技で勝っている。そうすると僕は一撃必殺じゃなくて「何で勝つかわからない男」になるのです。
――現在のプロレスは選手ごとに一撃必殺の技があります。今の話を聞いていると藤波辰爾選手が思い浮かびました。
翔太:藤波さんは何の技で勝つか分からなかったですよね。回転エビ固めや逆さ押さえ込み、ドラゴンスープレックスもあった。