【パラカヌー・瀬立モニカ】車椅子の子供たちが、体育を楽しめる社会へ。瀬立モニカが描く未来(後編)

――競技普及はもちろん、子供たちとの交流も大切になさっているんですね。ところで、東京大会でパラカヌー競技者として一区切り付けると伺ったのですが、これは本当でしょうか?

瀬立はい、本当です。東京パラリンピックが終わったら、学生に戻ります。正直、カヌー自体も続けるかどうか悩んでいて。東京大会の結果次第かな、と思っています。

――そうだったのですね。大学では、何か取り組んでいることがあるのでしょうか?

瀬立大学では「アダプテッド・スポーツ」について学んでいます。肢体不自由だけではなく、知的・精神障害、あとは体育が苦手な子供たちのために、インクルーシブな体育を作るというのがメインの研究室があるんです。そこで体育が苦手な子供たちに対して、どういうアプローチをしていけば良いのか、というのを研究しています。

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――その研究の先に、瀬立選手が将来的に描く夢の実現がある。

瀬立そうですね。実は、大学入学当初から考えていることがあって。というのも、大学の同級生たちの半分が教員志望なんですけど、これから教師になっていく卵たちがたくさんいる中で、私自身が高校時代に経験した「車椅子だから体育は見学ね」「何もやらせてあげられないよ」という教師を少なくしたい。

私のような思いをする子が、将来減ってくれたらいいな、という強い気持ちがありまして。だから大学の体育の授業も積極的に参加するようにしているんです。

「どうやったら、みんなで楽しめるのか」というのを先生が主体となり、みんなで考えてくれていて。工夫次第では車椅子でも体育が普通にできるというのを、みんなに知ってもらいたい。それによって、後々のインクルーシブな社会を作るきっかけにもなるんじゃないかと思うんです。

社会を変えるには教育から、教育を変えるには、そういう身の回りのところからアプローチしていく。それを少しでも実現できたら、私が大学に入ったことにも意味があったな、と思える気がします。

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(※この記事の取材は2020年2月に行われました)

取材・文/大楽聡詞
編集・写真/佐藤主祥

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