――他の選手が田中選手と闘っているのを見て、どのように感じましたか。
坂口:直接対決した後のD王GP決勝の遠藤戦、KO-D無差別級タイトルマッチのHARASHIMA戦は、田中将斗、圧巻の勝利ですよね。「やっぱりこの人、休んでないし寝てない」わけですよ。それだけのエンジンを積んでいますね。終盤になってもバテないんですよ。かといって倒れている姿も、そんな印象がない。
ただ、竹下戦の時に「ちょっとペース落ちているのかな?」というのを、ふと感じたんですよ。それが何かは具体的に分からないんですけど、これまで見てきた田中選手の戦い方ではなかったと思います。それは竹下の戦略だったのかもしれない。戦略だったら学べば良い。そこにヒントがあるような気がしています。タイトルマッチまで残りの時間、研究し尽くしてやろうと思っています。
――やはり気をつけているのは、田中選手のフィニッシャーであるスライディングDですか。
坂口:気をつけているは、スタミナですね。エルボーに対してはD王GPの時にも見せた飛び十字がありますが、田中選手のスタミナを削りきれなかった(笑) 田中選手の技自体はシンプルなんですよ。言い方が悪いけど「タフマンコンテスト」みたいな、長距離走ですよね。(笑)
技に関しては、特別難しいことはしていないんです。田中選手には戦い方のリズムがあります。そしてやっぱりスタミナですよね。後半になるとギアが上がるんです。みんな4速のギアで走っているのに、あの人は2速で走っていますからね。こっちがバテてくると、田中選手はギアが3速になり、4速に上がりますから。
――4月12日は、同じユニットの樋口選手が遠藤選手の持つ「さいたまスーパーアリーナ・KO-D無差別級王座挑戦剣」に挑戦しますね。
坂口:元々、あの剣を見ていてカッコいいなと。(笑)入場の時に持って歩きたいな、なんて樋口と話をしていて、自分が取りに行こうと思っていたんです。
でも、3月の後楽園で竹下に勝利した田中選手が「刺激がない」と言ったのと、DDTの選手、誰も挑戦しにいかなかったじゃないですか。それが自分的には解せなくて「誰も行かないんだったら、俺が行かせてもらうよ」と。
それに樋口が剣に行けば、俺がベルトを獲って、6月のさいたまスーパーアリーナで戦えるという利点が合致した。ユニットで何か特別な動きをするつもりはないですけど、樋口が剣・自分がベルトに挑戦することで、それがユニットの一つの起点になれば良いと思います。
――試合後、田中選手へのKO-D挑戦というのは、最初から決めていたわけではないんですか。
坂口:竹下が勝つと思っていたんですよ。そういう時に勝つのが竹下じゃないですか、DDTの最後の砦といえば砦ですよね。それが試合見ていたら「あっ、負けた」と。 「次は誰がいくんだろう?」と思っていました。
「『いつどこ挑戦権』もあるのに誰も行かないの?」と、田中選手も思ったんでしょうね、「刺激がない」と言いましたし。 ただ、その言葉にイラッとしたんですよね。「誰も行かないなら俺が行く」という気持ちで行かせていただきました。
――今回、新型ウイルスの件で会場が変更になり、無観客で試合を行うことになりました。会場に足を運べないファンの方へのメッセージとタイトル挑戦への意気込みをお願いします。
坂口:お客さんは背中を押してくれる存在なので、「お客さんの前でDDTのベルトを取り戻すという姿を見せたかった」というのが第一にあります。
ただ、世の中がこういう状況なので仕方がないし、タイトルマッチが流れなかっただけ自分には利があると思っているので、モニターの前で見ているファンの方の想いも背負いながら、KO-DのベルトをDDTに取り戻します。
この情勢が、いつ終わるか分からないですけど、終息しファンの方が会場に足を運んでくれる時は、自分がベルトを巻いている姿を、お見せたいと思っています。
取材・文/大楽聡詞
写真提供/DDTプロレスリング