再開後には岡部孝信選手、斎藤浩哉選手の活躍もあり、首位に立った日本チームの3人目のジャンパーとして原田さんが登場。リレハンメル五輪を共に戦い、この試合に出場出来なかった葛西紀明選手のグローブと西方さんのアンダーウェアを身につけて飛んだ原田さんは、2本目で137mの大ジャンプを披露し、日本の金メダル獲得を大きく手繰り寄せた。
「団体戦の前に、原田くんが『アンダーウェアを貸してくれ』と言ってきたんですよ。『何だろうな?』と思いながら差し出したんですが…。今思うと、気を遣ってくれていたんだろうなと思います」。
その後、日本の最終ジャンパーの船木和喜選手が、安定した滑走を見せ、日本は金メダルを獲得。自国で開催された五輪での快挙や、原田さんの“リベンジ”は、度々メディアでも取り上げられた。
「当初望んでいた形とは違いましたが、(地元開催の)長野五輪にも参加することができましたし、無事に金メダルを取った時には、原田くんのおかげでスッキリしたような部分もあって…。長野五輪に関しては、諦めがついたかなと思いますね。僕個人としては、憧れていた日本代表に入れて、リレハンメル五輪ではメダルも取れた。長野でも『過去も、これからも続いていくワンシーン』を作れたことを、今では凄く誇りに感じています」。
再び日本での五輪開催が間近に迫るなか、知られざるエピソードが映画化されることになった。23年越しに長野五輪の“主役”となった西方さんは、映画についての意気込みを次のように語る。
「五輪の時期になる度に、『いつか映画になる』という話が出ていたのですが、ようやく実現に至りました。これまでは長野五輪のことを話しても、なかなか分かってもらえない部分もあった。この作品を通じて、試合に出ている選手もそうでない選手も、みんなで大会を盛り上げている様子を感じて欲しいなと思います」。
『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』は、現在全国の映画館で公開されている。スクリーンで緻密に再現された23年前の感動を、再び感じられてみてはいかがでしょうか。
©2021映画「ヒノマルソウル」製作委員会
『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』 ©2021映画「ヒノマルソウル」製作委員会
出演:田中圭 土屋太鳳 山田裕貴 眞栄田郷敦 小坂菜緒(日向坂46)/濱津隆之/古田新太 他
取材・文/白鳥 純一