「文化系プロレス」として、プロレスの概念を吹き飛ばす発想でファンを魅了し続ける団体「DDTプロレスリング」。昨年末、DDTではシングルマッチのリーグ戦「D王 GRAND PRIX」が行われ、ZERO1の田中将斗が優勝。続く1月26日の後楽園ホールではHARASHIMAを破り、DDT最高峰のベルトKO-D無差別級王座を獲得した。2月23日にはMAOが田中に挑んだが、善戦むなしく敗退。DDTの“最後の砦”として、3月20日の後楽園ホール、竹下幸之介がベルト奪還に臨む。その戦いを直前に控えた今、DDTの竹下幸之介に話を伺った。
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――リング上のコスチュームやトレーニングの際のシューズなど、こだわりの「GEAR(道具)」があれば教えて下さい。
竹下:僕は試合の時にマウスピースとテーピングを必ず付けているのですが、特にテーピングの使い方にはこだわっています。それには2つ目的があります。一つ目は、手首って受け身を取る時に全体重が掛かるので、すぐに折れてしまう。
だから腕から手首まで一直線になるようにガチガチに固めて、折れないように固定するために使用しているんです。 もう一つは、僕は投げ技を多用する分、クラッチと言って自分の腕を掴むことが多く、試合が進むと相手も自分も汗をかいて滑ってしまう。なので滑らないようにキチンと掴めるようにテーピングをしているんです。
――さまざまな用途で使用されているんですね。ここからは昨年末のリーグ戦「D王 GRAND PRIX」を振り返って頂きたいのですが、あのリーグ戦で印象的な試合は何でしょう?
竹下:やはり、橋本千紘選手との試合ですかね。というのも僕は、女性をリスペクトしいていて、「プロレスのリングは男女平等」だと考えているので、女性でも思いっきり技をかけるし、思いっきり受けます。 それに男って、女には勝てないんですよ。
女王アリ、女王蜂のシステムと同じで、男性は働きアリであり、働きバチです。だから男性は働くための体力はありますが、気持ちというか、精神面という部分においては女性には「勝てない」と、戦っていて思います。彼女たちの心を折るのには、本当に時間が掛かるので苦労しますね。
――それは昨年末、橋本選手と戦っている時にも感じましたか?
竹下:感じましたね。お互いジャーマンスープレックスが得意というテーマがある中で、いざ試合が始まると、そんなことも考えられないくらい必死になっている自分がいて。
男vs女ではなく、完全にアスリートvsアスリートでしたね。とにかく「体力で負けないようにしよう」と思ったくらい、厳しい試合でした。 打撃vs打撃になった時は体重差は関係するので、僕くらい大きな選手と戦ったことのない橋本選手にはダメージが残ると思います。
しかし、投げ技を掛け合う展開になった時、男性・女性は関係ありません。実際にジャーマンで何度投げても、橋本選手はずっと起き上がってきました。だから本当の意味で「男女の差はないんだ」と感じましたね。女性レスラーの方が、気持ち的なガッツは強いと思いますよ。
――気が強そうな女子レスラーは多いですよね。
竹下:多いです。技を決めても倍返しされますし、平気で頭を蹴ってきたりしますから(笑)。あの気の強さは、男は持っていないんですよ。だから女性と戦って学ぶことは多いので、女子プロレスは良く観ます。その中で女子選手のメンタリティーの部分は参考にしていますね。
――男女の垣根を超えて、吸収できるものは全て吸収しているんですね。そして、いよいよ3月20日は田中将斗選手と一騎討ちですが、現在の心境はいかがでしょう?
竹下:これまで僕は会社や高木社長に、数々の憧れている選手との試合を実現させて頂いてきましたが、僕が憧れていたレスラーで「まだこの選手と戦えてないな」と思う唯一の選手が、田中将斗選手なんです。
「こういう選手に憧れていました」「こういう選手と戦いたいと思っていました」というもの、これが最後かなと思います。田中選手と戦ったら、過去の自分を払拭できるというか、「プロレス少年・竹下」じゃなくなるのかな、と考えます。