【プロレスリングWAVE 旧姓・広田さくら(1)】テレビで観たプロレスの技を「私も掛けられたい」

――2週間ですか?

広田:週一コースで、結果的に2回通いました(苦笑)。オーディションメニューは基礎体力の腕立て50回・腹筋50回・背筋50回・スクワット100回。実技はアピールタイムがありました。「体力がないのは仕方がない。だったらアピールタイムでなんとかする」という作戦に出ました。

案の定、私は腕立て10回・腹筋4,5回くらいしかできなかった。オーディションで基礎体力メニューを完璧にクリアしている人もいました。私よりはみんな出来ていました(苦笑)。

でも私は体力テストを捨てたので、やる気を見せるのにシフトチェンジし「誰よりも出来ないけど頑張っていますアピール」をしました。

その時代は絶対的なものとして全女(=全日本女子プロレス)がありました。古本屋に通っていたので頭に様々な知識が入っています。全女のオーディションのエピソードも読んでいました。

「バット吉永さんはオーディションでバットを折るパフォーマンスをして受かったから、リングネームがバット吉永になった」という情報もあり「オーディションは大切なアピールの場だ。だったら私は瓦を割ろう」と思いました。

何千人もオーディションを受けにくる、という情報もあったので「他の人と瓦割りが被っていたら雑誌を破ろう」と思い週刊ジャンプや週刊マガジン等を破れるかどうか試しました。1番マガジンが破りやすかった(笑)。

オーディションのアピールタイムの時、「瓦割りをやります」とカバンを開けたら、持参した3枚のうち2枚の瓦が移動中に割れていました(苦笑)。

それで「残った1枚の瓦を割ります」と簡単に割ったらオーディション現場の空気が悪くなってきたので「行きの新幹線でたまたま買った雑誌を破ろうと思います」と言って、先ほど購入したかのようにカバンから雑誌を取り出したら、雨の影響で雑誌が濡れていて全く破れなかった(笑)。

それで私のアピールタイムは終了しました。他の人は「でんぐり返し」とか「空手の型」を披露していました。

じつはオーディション中、GAEAサイドで私のことが「全然出来ないのに、やたらアピールしてくるやつがいる」と噂になってました(苦笑)。すると突然「歌とダンスの審査があります」と言われました。スタッフの人たちが「あいつ(広田)はどんなことをやるのか」と面白がっていたみたいですね(笑)。

急遽オーディションメニューにないことを長与さんが言われ「(里村)明衣子、手本をやってみろ」と。里村さんも突然振られたのに「はい。もちろん毎回やっています」的な感じで曲に乗って創作ダンスを披露しました(笑)。

不思議なことに最初の人が校歌を披露したら、みんな校歌を歌うんですよ。並び順で私は1番最後。「みんなと同じ校歌を披露したら絶対に印象に残らない」と思い、銀河鉄道999のエンディングテーマを振り付きで熱唱しました。

それでオーディションが終了、合否は当日発表。「審査をするので着替えをして待っていて下さい」と言われました。ミーティングルームでは「今回は合格者なしでいいでしょうか?」と話し合いが行われていたそうです。ただ、のちの代表になる杉山さんが「広田は面白そうだから試しに取ったらどう?」と言って下さった。それで私だけ合格したのですよ(笑)。

――広田さんは運があったんでしょうね。

広田:一度実家に戻り1ヶ月後に親と改めて上京しました。「プロレスに興味を持ったキッカケ」を聞かれると、凝縮された2〜3ヶ月の期間になりますね(笑)。
<(2)に続く>

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取材・文・編集/大楽 聡詞
写真提供/プロレスリングWAVE

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