
20日に甲子園で行われた阪神ー広島。この試合で阪神の藤川球児監督が激高したシーンがあった。
8回裏、打者・坂本誠志郎の場面で広島のルーキー・岡本駿が投じた初球のカットボールが抜け球となった。投球は坂本の頭部を直撃すると、藤川球児監督がベンチを飛び出して広島側に声を荒げ詰め寄るなど、両軍が入り乱れる騒ぎに。
死球を受けた坂本ら首脳陣が止めて収まったが、甲子園はあわや乱闘の雰囲気となった。
藤川監督は、試合後に詳細は語らなかったが「危ないよというところと、そこに投げないでねということですね」と意思表示をしていた。
ここにはある伏線があった。開幕前にスポーツ番組内で行われたセ・リーグ監督が集まった座談会の中で、藤川監督が一番警戒するチームに広島を挙げていた。
理由はこのカードでの死球数の多さ。昨季広島は阪神に15の死球を与えており、指揮官はそのデータを基に挙げていた。
一方、広島側は試合後に謝意を表した。かつて阪神で藤川監督とチームメートだった新井貴浩監督と藤井彰人ヘッドコーチはそれぞれ試合後に報道陣への質問に応じた。
「こちらは当ててしまった方。変化球が抜けてしまったんだけど、申し訳ない。坂本選手が大丈夫かなと思って見ていた」
新井監督がこのように発すると、藤井ヘッドも「まず、坂本選手は大丈夫ですか?」と逆に問うなど心配の様子を見せた。
球界OBもこの出来事に反応。阪神OBの田尾安志氏は自身のYouTubeチャンネルで、
「監督があの場面で怒るのかなと。僕は見てて寂しくなりましたね」と藤川監督に冷静さがあってもよかったのではないかと率直な意見を述べる。
「わざと当てたものではないですよ。まして新井監督や藤井ヘッドコーチはお世話になったタイガースの選手に狙えということはないですし、今の時代“狙え”と言う人は指導者失格ですから」と続けた。
同じく阪神OBで藤川監督らと元チームメートだった下柳剛氏も同じく自身のYouTubeチャンネルで、
「安藤(投手チーフコーチ)よく止めた。球児は冷静を装っているけど熱い男だからね。まず坂本を心配して様子を見ようとしてたけれども、何か(広島ベンチから)一言言われてスイッチが入ったのかもしれない」と考察。
近年乱闘が減ったと言われ珍しいシーンとなったが、今シーズン新たに就任した虎の指揮官の熱さが注目される場面となった。
記事/まるスポ編集部