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最初の入門テストは棚橋弘至社長と一緒に受けて不合格
――新日本プロレスの入門テストはいつ受けたのでしょうか?
井上:私は24歳の時に初めて新日本プロレスの入門テストを受けました。その時に棚橋社長も一緒に受けました。寮生時代の時、社長が「あの時の入門テストに受かるとしたら自分か井上か」と思っていたそうです。そして「入門テスト後、二人で道場から等々力の坂を上がって等々力駅まで歩いた…」と。
ただ、この時のことを私があんまり覚えていなくて。というのも、私がテスト中にちょっとやらかしてしまいまして。私はテストを終えた帰り道、「心ここにあらず」でした(苦笑)。
――どんなことをやらかしたのでしょうか?
井上:入門テスト前、私がテストの試験官の目線で「井上亘が合格をするには?」を考えました。当時、新日本にはアマレス日本一の方が多く存在したし、新日本プロレスの合同練習の厳しさは有名でした。
私はそういった実績がゼロ。最低限テスト内容を出来るのは当たり前。“絶対に新日本でプロレスラーになる!”を体現しないと入門テストに合格できないと思いました。私は事前に新日本の入門テストの内容を調べ、それをやり遂げる体力をつけました。そして今回の入門テストが「最初で最後の1回だ!」と思って臨みました。
入門テストは前半組と後半組の2組に分けられ、私は前半組。「スクワットを200回!」と言われて、ありったけの大声で数を数えてスクワットをしました。前半組は終了。浜口ジムでトレーニングしてきた私からするとスクワット200回は何ともない回数。
それで後半組が始まっても、私は今まで鍛えてきた体力を見てほしくて前半組から引き続きスクワットをやり続けました。すると橋本真也さんが「お前の番は終わったから休んでおけ」と優しく声を掛けてくれました。
しかし、私は新日本プロレスでプロレスラーになる気持ちを体現しようとスクワットを続けました。そうしたら橋本さんが、「お前、俺が休めと言っているのがわからんのか!」と雷を落とされました。やっぱり橋本さんの生の怒鳴り声は迫力がありすぎて、素人の私はスクワットする動きがピタッと止まってしまいました。(苦笑)。