新日本プロレス・井上亘さんが歩むセカンドキャリア(前編)「最初の入門テストは棚橋弘至社長と一緒に受けて共に不合格でした」

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――プロレスの歴史が大きく動いた瞬間です。

井上:「歴史が動いた」は大袈裟です(笑)。浜口ジムが良かったのはまず浜口さんというとても大きな存在がいらっしゃったこと。私が初めて浜口さんとお話をさせていただいたとき、私は浜口さんに圧倒的な人間力を感じました。

また、「プロレスラーになりたい!」という激しいエネルギーの塊のような道場生がたくさんいました。ここにいた道場生が、それまで私の友達周りにはいない人たちばかりでした。日曜日と祝日、プロレスラーを目指す人たちが集まり練習する時間がありました。

そこは激しいエネルギーのぶつかり合いでした。みんなの目の輝きや相手とぶつかり合える強靭な肉体。その時自分には無いものを浜口ジムの道場生がたくさん持っていました。私が今まで経験したことがない世界がそこにありましたね。

――とても刺激を受けたのですね。

井上:それで大学3年生の秋から冬に変わるとき、「自分も一つのことに打ち込んでみよう」と浜口ジムに通い始めました。まずは出来る範囲の重量とセット数でウエイトトレーニングを始めました。その後、一緒に大学に通った友達は卒業して就職しました。

私は体調が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、身体を鍛えるためにジム通いを続けました。そうしているうちに心境が「何とかなる!」と絶望感から充実感に変わり始めていました。

――それはどうしてでしょうか?

井上:トレーニングと向き合えば、私の体がドンドン変化していくのを日々感じることができました。それが自信につながり前向きになれました。この時の経験が、今私が取り組んでいるTTGC(=The Third Generation Club)に繋がっています。TTGCの基本理念は「トレーニングを通してみんなのココロとカラダを元気にしたいと思う活動」です。

――TTGCについては、後ほどたっぷり伺います。アニマル浜口ジムで体力作りをしながら、お仕事をされていたのですか?

井上:卒業後はアニマル浜口さんの後援会の方がされている内装業のところでお世話になりました。古い壁紙をはがして新しい壁紙を張っていく。汚れていた部屋を掃除して、床にはワックスをかけてきれいな部屋に仕上げていく。部屋をリフォームし終えて新しい住人の方が住める準備が出来る頃には、部屋の空気感ががらりと変わっていました。

そこは明るく空気が澄み切っていました。この状態にお家を仕上げると、私はまるで自分の心を掃除し終わった感じがしました。そういったことを私は一軒リフォームを仕上げる度に感じられたので、いつの頃からか、「この仕事は私の心も軽くさせてもらえるなぁ」と思えてなりませんでした。

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