中日からポスティングシステムを利用し、MLB移籍を目指していた小笠原慎之介投手がナショナルズと契約合意した。
チームの公式X(旧:Twitterツイッター)で発表され、MLB公式サイトでは2年契約を結んだとしている。交渉期限が24時間を切っており、中日残留の可能性もあった中での電撃合意となった。
長年抱いていた夢に向けてついにスタートラインへと立つ。97年生まれの小笠原はメジャーを「小学生からの夢」と公言していた。
「メジャーで日本人が活躍するのをテレビで見て『ここでやりたい』と感じていました」
過去にそう語っており、物心がついた時からメジャーは常にTVなどで見れるものとしてあった。
東海大相模時代は3年夏(2015年)、甲子園優勝投手に輝きドラフト1位で中日に入団。以降は貴重な先発左腕投手として、強力投手陣の一員を担った。
昨季まで4年連続規定投球回を投げ、22年に10勝をマーク。昨季は5勝11敗ではあったがチームで唯一先発ローテーションを回り抜いた。
ただ、近くで見ていたOBは厳しい意見と共に期待も寄せている。
入団時の監督でドラフトではくじを引き当てた谷繁元信氏は、名球会チャンネルの中で「苦労はすると思う」とし、
「相手が嫌がるボールというのは正直ない。もう少しブレーキがあったり落差があったりしていけば今永(昇太:カブス)のような感じにはなると思う」
と”敢えて厳しく”述べた。また岩瀬仁紀氏もこれに続いて通算46勝65敗という成績も踏まえ、
「今までは日本のトップのピッチャーが行っているけども、小笠原が行って活躍することになれば、さらにメジャーにいく選手が増えると思う」
と基準が変わる可能性があることを示した。
一方で山本昌氏は「ストライクが入るから勝負になる」と評し、ある試合を挙げた。
「(23年の)WBCの壮行試合で中日が侍ジャパンに勝ったけど、先発が小笠原くんで相手が今永くん。出来は小笠原くんの方が良かった。あれが戻れば十分行けるのではないか」
WBCでは全勝で世界一に輝いた侍ジャパンだが、壮行試合含めて唯一黒星をつけたのが中日で、小笠原は後に決勝で投げる今永と投げ合って5回無失点
という堂々たる投球だった。
昨季は今永が1年目で15勝を挙げる活躍を見せ、日本人の左腕投手の評価が高まりつつある中、どんな成績を残すのか。
ついに立った夢の舞台で、力を試す時が来た。
記事/まるスポ編集部