ソフトバンクのリチャード内野手が6日、2度目の契約更改に臨み現状維持の年俸1000万円(金額は推定)でサインした。
前回の交渉後では、「ホークスで頑張るのが一番ですが、誰かのケガ待ちというのも嫌」と移籍も視野に入れたコメントをしていた。
リチャードは17年のドラフトで育成3位指名を受けて入団以降、189cm・118kgという体格を活かした長打力を武器にファームで本塁打を量産してきた。
今季も18本塁打を放ち、ウエスタン・リーグでは5年連続となる5度目の本塁打王、打点も54打点で3年連続4度目のタイトルを獲得した。
ただ、本人も常に語っているように目標は一軍で活躍すること。一軍の公式戦では21年に7本塁打をマークするものの、今シーズンは15試合出場に終わり、2年続けて0本・1打点と満足いく成績を残せていない。
また、一軍では自身が守る一塁には今季パ・リーグ2冠の山川穂高、三塁には侍ジャパンでプレミア12を戦った栗原陵矢が主に務めていることから、その壁は厚くそびえ立っている。
リチャードの持つ長打力には魅力があることから、9日に行われる「現役ドラフト」の候補として球界OBなどからその名前が挙げられている。
田尾安志氏は自身のYouTubeチャンネルでパ・リーグの現役ドラフト特集を組んだ際に「ずっと気になる選手」としており、
「最初に鳴尾浜球場で彼のフリーバッティングを見た時に『何でこんな選手がファームにいるのか』と思った」と語る。
また、高木豊氏も自身のYouTubeチャンネルで「あれだけ飛距離を持っている選手はそうはいないよ」と語るなど、その能力の高さはプロの目から見ても感じられる。
しかしその一方で、最も近くで見てきた指揮官は明確な課題と姿勢を指摘。二軍監督時代からリチャードを見続けてきた小久保裕紀監督は、
「一軍での彼の弱点は直球を打てないこと。その真っすぐを打つためにどうすればいいか。じゃあアイピッチを使った練習に取り組んでいますか?と言えば取り組んでいない。やることやってから言ったらと」
と率直に述べた。田尾氏も先ほどのコメントに続いて
「もし、そのバッティングで一軍に上がれなかったら君の努力が足りない、もしくはその方向性が違う。そういうことも考えないといけないよと本人と話をしました」
と語っており、類まれな力を認めているからこそのコメントだった。
リチャードは2回目の交渉で「覚悟を持って印鑑を押せた」とサインしたことから、ホークスの一員として再び気持ちを入れ直した。
三笠杉彦GMは1回目の交渉時に「戦力として見ているから、それはできない」と放出を否定していることから、現役ドラフトでの指名対象リスト自体に果たして入るのか。
現役ドラフトに注目が集まるとともに、自身は来シーズン一軍でアーチを描くべくバットを振り続ける。
記事:まるスポ編集部