――ある時期、毎年大晦日にヒョードル選手が日本のリングに上がっていました。年末年始、家族と離れ離れになり奥様や娘さんは寂しい思いをしていませんか?
ヒョードル:確かに、これまで年末は家族と一緒に過ごすことが出来なかった。しかし私の家族は、私の仕事を理解してくれる。幸いなことに、今回の試合は12月29日なので、急いでロシアに帰れば31日は家族と一緒に過ごすことができるよ。
――ちなみに、12月29日は娘さんの誕生日ですよね?
ヒョードル:そうなんだ。でも何かあれば電話をして「おめでとう」と一言伝えることができる。しかし29日は大切な試合がある。まずはその試合に集中し、試合が終わった後、娘の誕生日のことは考えるよ(笑)。
――ヒョードル選手の勝率は9割を超えていますが、これまで戦ってきて印象に残って試合があれば教えてください。
ヒョードル:やはり自分のキャリアの中で一番重要だった試合は、PRIDEヘビー級タイトルに挑戦した、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ戦だと思っているよ。
日本人だと、藤田和之選手が印象に残っている。キャリア的にお互い脂が乗っている時期に戦うことができた。対戦相手としては、とても厳しい試合ではあったが、今でも記憶に残る戦いの一つになっているよ。
――2000年のリングスの大会から、もうすぐ20年が経ちます。長い期間リングで活躍するために、モチベーションを保つ方法を教えてください。
ヒョードル:自分に出来ることは最大限準備をし、試合に向けてトレーニングすること。試合では全力を尽くすこと。そしてその結果を神に委ねること。それだけしかできない。
――昔と今を比べて、格闘技界はどのように変化してきたと感じますか?
ヒョードル:良い点は、沢山の選手が出てきてダイバーシティー(多様性)が進んだこと。技や知識のレベルが上がってきたこと。一方、残念な点は、リング内で起きている試合で魅了しなければいけないのに、試合前のパフォーマンスで魅せる選手が増えたこと。
相手のことを蔑むような発言であったり、そういったことでファンを獲得する方法は、昔と違うように感じる。本来であれば試合で魅せることが大切なのではないかと思う。