元全日本キックチャンピオン石川直生「全盛期の自分を超えたい」引退後も挑戦し続ける理由とは…(後編)

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石川は「人生の厳しい部分を格闘技を通じて経験した」と話す

1年でメインイベンターからオープニングファイターに転落、引退決意

――ところで引退を決めたきっかけを教えてください。

石川:卜部くんとの試合の1ヶ月後の2013年1月に急遽代打で試合がありました。僕は手首を怪我して右手が使えない状態でしたが勝ちました。

2013年6月にISKA王座決定トーナメントがあり、1回戦で敗退。

2013年9月に神戸翔太くんと対戦し、バッティングで試合続行不可能になり負傷判定でドロー。同年11月に再戦しましたが、負けてしまいました。

かなり頭にダメージが溜まったんでしょうね。でも僕の自己表現の場所はリングで勝つしかないと。そうしないと自分の価値が取り戻せない。

2014年4月15日、結果的に最後となった加藤港選手との試合。当時彼は経験も浅く、僕は彼の名前を知らなかった。しかも第1試合でもなく、オープニングファイト(現:プレミアリーグファイト)での試合。


卜部くんとメインイベントでタイトルマッチをやった人間が、1年後オープニングファイトまで落ちぶれたんです。

でも、この試合も1ラウンド80秒ぐらいでKO負け。それで1年くらい試合を休むと決めました。復活できたらと思いましたが、頭のダメージは回復せず、モチベーションも落ちてしまいました。

その時ジム内でも色々と問題が起こっていて、山田トレーナーとも袂を分つことに。それで引退を決意しました。


――引退を決めた時、自分の中で不完全燃焼という気持ちはありましたか?

石川:自分が決断した選択なので後悔はしてないです。もちろん最後はもっと試合感覚を上げればよかったとは思います。

僕は時々出稽古に行って、他団体のチャンピオンとスパーリングするんですが、稽古では勝てるのに試合では結果が出ない。おそらく、体も頭も賞味期限切れだったのでしょう。

だから不完全燃焼で終わったと思っていないし、卜部くんとの最後の引き分けをピークに落ちたけど、”人生とはそういうもの”という気がしますね。

人生の厳しい部分を格闘技を通じて経験したと今では思っています。
しかし、僕にそういう経験があるから、今の選手たちの気持ちが手に取るようにわかるんです。

解説者として選手の背景も見えるし、キチンと練習をしているのに勝てない選手の気持ちも理解できる。だから解説者は向いているのかも。喋るのも苦手じゃないからかもしれないですが(笑)。

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