ソフトバンクの甲斐拓也捕手が国内フリーエージェント(FA)権を行使する決断をしたと一部で報道された。
DeNAとの日本シリーズ第6戦で敗れた3日、FA権の行使については「今後についてはあらためてゆっくり考えたい」とコメント。
11日にみずほPayPayドームを訪れた際には、「今はちょっとまだ何も言えることはないですね」と語るなど、熟考している様子を見せていた。
甲斐は今季119試合に出場し、4年ぶりのリーグ優勝に貢献。初のFA権を取得したことでその動向が注目されていたが、本当に権利を行使するならば争奪戦も予想されている。
これまでの足跡は、まさにドラマのように描かれてきた。
甲斐は10年のドラフト会議で育成6位での指名を受け入団。同年の1位は同じ捕手の山下斐紹で2位は柳田悠岐、そして育成には4位で千賀滉大(メッツ)と5位は牧原大成という面々だった。
背番号は3桁の「130」からスタートすると、持ち味の強肩を武器に13年に支配下選手登録を勝ち取った。
17年に103試合に出場し、チームの日本一に貢献。この年のゴールデングラブ賞とベストナインを獲得し一気に頭角を表した。
以降正捕手の座を掴むと、18年日本シリーズで新記録となる6連続盗塁阻止を決めMVPを獲得。”甲斐キャノン”のフレーズが瞬く間に全国へと認知された。
また、侍ジャパンの一員として国際大会にも多く出場している。
19年のプレミア12と21年の東京五輪、そして23年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではいずれも主戦捕手として扇の要を担い、全て日本を優勝に導いている。
その年の最後のドラフト指名で入団した育成選手が、今や世界一の味を知る捕手へと登り詰めた。
ホークスの大先輩である野村克也氏の背番号「19」を受け継いでいる32歳。来シーズンは一体どのチームのユニフォームを着ているのか。
申請期限が13日と翌日に迫っており、かつ今年は捕手のFA権取得選手が例年に比べて多いだけに、今後の動きが注目される。
記事/まるスポ編集部