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今年のプロ野球は123名の選手が新たにプロの門を叩いた。
うち支配下は69名・育成では54名の選手が昨年のドラフト会議で指名を受けた。特に育成選手は将来性や特筆した技術を買われ、過去にも背番号3桁からレギュラー・そして日本代表へと這い上がった選手もいる。
ただ、そういう選手は甲子園出場はおろか地方大会の2〜3回戦止まりということもあり、スカウトの注目を集めるまでには至らないケースもある。
実際にスカウトの立場から上記にまつわる裏話が展開された。
先日公開された高橋慶彦氏(元広島ほか)のYouTubeチャンネル「よしひこチャンネル」では、牛島和彦氏(元中日・ロッテ)に加えて中日でチーフスカウトを務めた早川実氏と共に当時の思い出などを振り返っている。
早川氏は中日スカウト時代に野口茂樹氏や荒木雅博氏を担当した実績がある。ここで話題に挙がったのが現在メッツでプレーする千賀滉大投手について。
千賀は中日の地元愛知県蒲郡市の出身で、県立蒲郡高等学校からソフトバンクに育成ドラフト4位で2010年に入団している。
以前から各所で語られている話として、 アマチュア球界に詳しいとされる名古屋市のスポーツ用品店店主から推薦を受けて指名に至ったというもの。
実際千賀の最後の夏は県大会3回戦で敗退し、推薦を受けた他球団は「正直育成でも厳しい」という評価だった。
それが今やメジャーリーガーに。
高橋氏から「千賀はどうだったの?」と聞かれると、「(当時ソフトバンクのスカウトだった)小川(一夫)も『早川さん、全然誰も見ていないんですよ』」と当時のスカウト状況を語った。
近年は高校の監督などからも「育成でいいので獲ってくれませんか」という指導者が多いと早川氏は実情を明かした。
高橋氏は「でも大学行った方がいい場合もありますよね」と大学や社会人で実力と実績をつけて支配下でプロ入りした方が、将来的にはプラスになることを踏まえた持論を述べた。
育成制度ができて以降、山口鉄也氏(現:二軍投手チーフコーチ)や甲斐拓也(巨人)など侍ジャパンに選ばれる選手も出てきただけに、このように”埋もれた逸材”が台頭するのもドラフトそしてプロ野球の面白さの一つになっている。
記事/まるスポ編集部