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昨季は4年ぶりにセ・リーグを制覇したが、クライマックスシリーズで敗れ日本シリーズ進出を逃した巨人。オフに大型補強を行い、注目を集めた。
ソフトバンクからFA移籍した甲斐拓也捕手もその一人。阿部慎之助監督が直接交渉へと出向き、自身が現役時代に背負った背番号「10」を用意する熱意を見せ口説き落とした。
ここで議論となっているのが起用方法について。昨季は主に岸田行倫・大城卓三・小林誠司の3人で回し、チーム防御率は12球団トップの2.49を記録した。
特に岸田は昨年台頭し、チーム最多の72試合で先発マスクを被ると盗塁阻止率は12球団トップの.475をマーク。ゴールデングラブ賞でも捕手部門で2位の票を集めた。
それでも指揮官は物足りない部分があったのか、「絶対的な司令塔が欲しい」と国際試合での経験も豊富な鷹の正捕手獲得を熱望した。
優勝に貢献した3捕手に加えて甲斐を加えた競争については、球界OBでも見解が述べられている。
23年まで巨人のコーチとして実際に3選手と接していた元木大介氏は、自身のYouTubeチャンネルで高橋由伸氏と対談した際に「当然(FAで)獲っているんだから甲斐(を正捕手)でいくと思う。それでチームが勝っていたらずっと使う」とコメント。
ただし、「ダメに(勝てなく)なって、かつ打てていなかったら岸田とか大城・小林にチャンスが出てくると思う」と続けた。
また、甲斐が巨人でも正捕手として定着するために注意することとして、このように挙げている。
「人と人なんで、ソフトバンクの投手陣はまとめられていたけども、ジャイアンツの投手陣はまた性格も違うから、『俺の言うこと聞けよ』って感じでいくと多分失敗するだろうなと」
高橋氏もこれに続けて、「お互いを知ることをキャンプ中にどれだけできるか。元木さんが言ったように(FAで)獲っているので甲斐中心で行くと思う」と話した。
なお、阿部監督はキャンプイン直後のテレビ番組でのインタビューで「高いお金出していただいて、FAでせっかく来てくれたんで」と甲斐を正捕手として起用することを示唆。
しかしここで3選手も黙って屈するはずはなく、チャンスを手繰り寄せるべくアピールを重ねている。
巨人の連覇に向けた扇の要は誰になるのか。その競争の行方から目が離せない。
記事/まるスポ編集部