1月31日の後楽園ホールは熱狂したプロレスファンで埋め尽くされていた。
この日「ジャイアント馬場没25年追善~太陽ケア引退試合~木原文人リングアナデビュー35周年記念大会」が開催。名だたる選手たちの熱戦が繰り広げられる中、ともに今春での引退を表明した里村明衣子と高橋奈七永がシングルマッチで激突した。
里村は1995年15歳でGAEA JAPANの旗揚げ戦でデビュー。早くから「脅威の新人」として注目を浴び、1998年には師匠である長与千種から後継者指名を受ける。2006年には宮城県仙台市を拠点に『センダイガールズプロレスリング』を旗揚げ。里村自らエースとして活動するとともにコーチとして新人選手の育成に尽力している。
一方、奈七永は1996年全日本女子プロレスでデビューし、2004年WWWA世界シングル王座を獲得。怪我によりベルトを返上するが、2006年には再び王座を奪回。のち、新団体「SEAdLINNNG」の設立と退団を経て、2024年マリーゴールドの旗揚げに参加。”パッション”を合言葉に情熱的な戦いでファンを魅了する。
引退を控えた2人だが、今回のシングルマッチが実現した背景には和田京平レフェリーの後押しがあった。今年1月3日に行われたマリーゴールド大田区大会で、里村は奈七永とタッグマッチで対戦。試合を見ていた和田京平レフェリーが試合後のバックステージで「2人のシングルマッチ見たい。俺がレフェリーをやる」と提案し、里村と奈七永は快諾。
試合はロックアップの力比べからスタート。里村のキレキレの鋭いキックが炸裂したかと思えば、奈七永の足4の字固めやヒザ十字固めなどのグラウンドテクニックが冴え渡る。ときおり相手の攻撃により苦痛に耐える両者の姿もあったが、試合が最高潮を迎えた時、制限時間15分となり勝負は引き分けた。
奈七永はバックステージでコメントをしている里村に近づき「(里村と)シングルができて良かったし、やらないで終わるなんで考えられなかった。もし良かったら隣に立ってみたいなぁなんて思っちゃいました」とタッグ結成について素直な気持ちを里村に伝えた。里村も「できる限りやりましょうよ」「相手厳選しといてくださいよ」と前向きなコメントを残した。
昭和から令和を駆け抜けたレジェンド女子プロレスラー、里村明衣子と高橋奈七永。戦って来た環境は違うが、流れゆく時代の変化の中で、大切な部分は継承し無駄なことは切り捨て、新時代と呼ばれる”今”も戦い続ける。里村は言う「それが強さになり自信になっている」と。引退まであと約3ヶ月。
私は最後まで戦う2人の姿をしっかりと見届けていきたい。
#ミライ/文
<インフォメーション>
2月7日(金)マリーゴールド新宿FACEで「MARIGOLD New Years Golden Garden2025」が開催。 スーパーフライ級王者のビクトリア弓月に松井珠紗が挑戦します。詳細はマリーゴールド公式ウェブサイトをご確認ください。
3月19日(水)センダイガールズ代々木競技場・第二体育館で『THE TOP of JOSHI WRESTLING』が開催。詳細はセンダイガールズプロレスリング公式ウェブサイトをご確認ください。
また試合は動画配信サービスWRESTLE UNIVERSEでお楽しみください。