ソフトバンクからFA宣言していた石川柊太投手が11日、ロッテへの移籍を表明した。
残留を要請していたソフトバンク、さらに獲得に名乗りを挙げたオリックス・ヤクルト・巨人の5球団による争奪戦にピリオドが打たれた。
「交渉では吉井理人監督から『ずっと見てたよ』って言っていただいて、フロントの熱意と現場の熱意が最も一致していると感じた」と決め手を明かしていた。
また、11年間を過ごしたホークスに向けても感謝の意をこのように表した。
「福岡が大好きですし、自分を野球選手として育ててくれたのは紛れもなく福岡でありホークスであり、ファンの皆さんです。
熟考を重ねる中でそういう方々の顔が浮かんでいたのは間違いないですが、今回、移籍という決断をさせていただきました。長いようで短いようで、内容的にはとても濃い11年間でした」
石川は創価大から13年育成ドラフト1位でソフトバンクに入団。背番号「138」からのスタートだった。
入団から2年間は故障もあり、二軍戦の登板機会すらもなかった。しかし、3年目の16年に三軍・二軍で結果を残すと7月に念願の支配下登録を勝ち取った。
一軍デビューを果たしたのは4年目の17年。この年に8勝を挙げリーグ優勝に貢献すると、日本シリーズでも2勝をマークした。
18年は先発・リリーフの両面でフル回転し13勝&12ホールド、20年には11勝3敗で最多勝と最高勝率の2冠に輝いた。
昨季はノーヒットノーランを達成するなど、”育成の星”の一人として活躍を重ねた。
石川が武器としている球は”パワーカーブ”と呼ぶ変化球。
伊藤智仁氏(現:ヤクルト投手コーディネーター)の伝家の宝刀スライダーと同じ握りという球は、120km/h台で弧を描くのではなく力強い曲がりをすることが由来。
そのパワーカーブの威力が一層発揮されているのが、次なるホームとなるZOZOマリンスタジアム。
名物とされる強風で変化球の曲がりがより鋭くなるこの球場では、相性がとても良い石川。
今季はZOZOマリンで3試合に登板し2勝0敗、計12回を投げなんと無失点という数字をマークしている。
熱狂的な応援と球団の熱意と共に、風を味方につける男がマウンドで躍動する。
記事/まるスポ編集部